長男出産レポ②

妊娠中から大きな問題なく成長していった長男。ところが、予定日の約三週間前に破水した。

 

土曜日の朝6時頃だっただろうか、寝ていた私は下半身に水がつたう感覚とともにハッと目が覚めた。そして、これは破水だな…と思った。

 

ちょうど夫がいたので、夫に言うと、半分寝ぼけているのか、しばらくボーっとしている。

 

私自身は、初めての妊娠でしかも破水、土曜の早朝ということもあり、今から思うと結構慌てた。まず産院へ連絡か、生理用ナプキンを当てるべきか、バスタオルを準備して、ええと、もしかしたらそのまま入院?となると、入院道具も持っていくのかな??というか今の時間って救急扱いになっちゃうのかな?

 

頭の中で色々なことを思う。

 

とりあえずトイレ行ってナプキン当てておこうかなと、ベッドから降りようとした瞬間も、またジャーと流れる感覚。

 

なんとかトイレまで歩き下着を取り替えてナプキンを当てて、外出着に着替えた。

 

この間、夫はまだ廊下でボーっとしている。

 

その姿を見て、瞬間的に込み上げてくる怒りが抑えられず、私は怒鳴っていた。

 

「なんで何もしないでボーっとしてるの?破水して大変なんだよ!?」

 

私は夫が、人生において片手で数えるほどしかないであろう妻の非常時に、悠長にしている様子に我慢ができなかったのだ。

 

 

 

この、ちょっとしたことでキレるというのは、子ども二人を育てている現在、私の悪しき習慣になりつつある。

 

独身の頃は、こんな自分ではなかった。むしろ穏やかな方だった。

 

夫も、穏やかな性格の妻と結婚した筈なので、これは結婚詐欺になるかもしれない。

 

しかし弁解させてもらえるなら、私がすぐにキレる性格になったのには訳があるのだ。

 

これは、独身者にも既婚者にも特に男性の皆様によく聞いていただきたい。子育て中の妻はこういう状態なのだと。

 

 

妊娠中や出産時、産後(特に一人目の産後一、二ヶ月くらい)の妻の精神状態は極めて不安定だ。

 

ちょっとしたことで泣く、絶望する、不安になる、怒る。なぜなら、お腹には自分の分身が生きていて、分身はどんどん大きくなり、重くなる。その重みと比例して、きちんと育っているか、どこか体の具合の悪いところはないか、不安も大きくなる。産後は、赤ちゃんの世話に明け暮れ、自分自身のことは二の次になる。結果、思考停止や睡眠不足状態になる。自分の食事は赤ちゃんが寝ている時に限られるが、いつ眼を覚ますかわからないので、常に生存確認しながら家事に追われる。

 

家事なんか後回しにすれば良いとか、掃除はしなくても死なないとかいう言葉をよく聞く。しかし、私はこの言葉を言う人に少し疑問を感じる。

 

赤ちゃんがいると吐き戻しやウンチの横漏れによって洗濯物が増える。それはそのまま長時間放置しておくと不衛生な類の洗濯物だ。

 

赤ちゃんがいると、母乳で育てている家庭は、お母さんの食事量が上がる。母乳を出すととてもお腹が空くためだ。そうなると、ある程度自炊しないと栄養的にも経済的にもキツイので、必然的に台所が散らかる。

 

洗っていない食器を目の前にしたら、多少つらくても洗って置かねばという気になるものだ。

 

また、今まで当たり前にこなしていた家事が出来ないストレスに加え、散らかった部屋に赤ちゃんと二人きりで居たら、余計ストレスが溜まるタイプの人は多いのではないだろうか。

 

 

ホルモンバランスの乱れも深刻な状態だ。

 

妊娠中や産後、女性の体は目まぐるしい変化を遂げる。一説によると、何光年という時間をかけて人類は誕生したが、それをたった10カ月という短期間で自身の体の中で成熟、放出させるためだ。

 

もっと、妊娠中・産後の女性の体と心のケアに向けて医学会や自治体が共同で対策を練ってほしいと願う。

 

マドレボニータという産後の女性のケアを行う団体がある。有酸素運動(バランスボール)によって産後の体に体力を付け、自分の心に意識的に向き合う2時間のプログラムだ。

 

この産後教室に通った話もいつか綴りたいと思う。

 

 

 

 

 

破水から約20分後に産院へ電話を掛けた。そして、そのまま入院することになった。

 

病院へタクシーで向かう。陣痛タクシーに登録していたが、なぜか繋がらないので、流しのタクシーを拾う。

 

産院は、国立成育医療研究センターだ。ハイリスク妊婦の受け入れ先として有名で、全国屈指のハイレベルな医療機関である。

 

私はハイリスク妊婦ではなかったが、やはり安心感があるので、出産するなら成育でと決めていた。

 

救急から入り、受付を済ませて、病室のベッドで横たわる。四人部屋だ。

 

まずここで今夜は過ごすことになった。

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病院

 

朝8時頃の景色。この時は誰もいなかった。

 

なんだか病院全体が静かである。

 

看護師さんが、「次に病院を出るときは、赤ちゃんを産んだ後ですよ〜」と言っていた。まだ実感が湧かないが、破水からの入院、出産コースとはこういうことなんだろう。

 

次回は無痛分娩について。